柔道整復師が整骨院を開業するには?オープンまでの流れと手続き

柔道整復師の魅力の一つは、資格を活かして個人で開業できることです。
自分の技術と知識を頼りに開業して患者を受け入れることは、大きな責任とプレッシャーを伴いますが、それだけにやりがいも大きいでしょう。
整骨院を開業したくて資格を取得する人もいるのではないでしょうか。
とはいえ、柔道整復師の資格を取得すれば、すぐに整骨院開業への道が開けるというわけではありません。
開業資金を用意するのはもちろんのこと、ほかにも準備が必要です。
今回は柔道整復師の人向けに、整骨院を開業するまでに行う具体的な準備や心構えについて解説します。


1)整骨院を開業するまでの流れ
2)整骨院を開業するのに必要な届け出
3)整骨院を開業するために必要なこと
4)活躍の場が広がる女性鍼灸師

整骨院を開業するまでの流れ

整骨院を開業するには、どのような準備をすれば良いのでしょうか。まずは、開業までの基本的な流れをご説明します

(1)事業計画を立てる

開業予定日を設定する

「資金を準備できたら」「開業用の物件が見つかったら」というように、ある程度の見通しが立ってから開業に向けて動き出そうと考えていると、なかなか具体的に動き出すことができません。

自分で設定した開業予定日に間に合うように物件を探し、資金を調達しましょう。


運営方針を決める

高齢者など地域の人々に施術を提供するのか、アスリート向けに特化するのか、女性向けの施術を行うのかなど、整骨院のコンセプトを決めましょう。

どのような方針で運営していくのかによって、施設の内装や看板、宣伝の仕方も変わってきます。


(2)資金計画を立てる

開業用の物件確保、設備費、開業後の運転資金など、開業には大金が必要です。

たいていの場合、すべてを自己資金で賄うのはなかなか難しいので、金融機関から融資を受けて開業用のお金を用意することになります。

開業用物件の家賃または購入費用、設備費用、人件費等の概算を出し、自己資金に加えていくらの融資が必要なのかを計算しましょう。

融資を受けるには、事業計画書を提出する必要があります。

事業計画書には、ほかに開業の動機、何の店舗・施設を開業するのか、何を販売・提供するのか、開業後の収益見込みなどを記入します。

完璧な事業計画書を作成するには専門知識が求められますので、日本政策金融公庫の事前相談に行く、税理士に作成を依頼するなど、専門家に相談すると良いでしょう。


(3)開業する場所・物件を決める

資金に余裕がある場合を除いて、初めはビルなどのテナントに入るのが一般的です。

駅近くや大通り沿いなど立地にこだわりたくなるかもしれませんが、一般的に立地が良いとされる場所が必ずしも開業に適しているとは限りません。

運営方針を考慮して候補のエリアを事前に調査し、集客したいターゲット層が多い場所を選びましょう。

また、同じようなコンセプトの競合医院が近隣に乱立していないかどうかも大切なチェックポイントです。

ターゲットが重なっていれば同じエリアに集まるのは当たり前ですが、差別化して競争していけるかどうかも考えて判断しましょう。

(4)物件の改装・引っ越し

開業場所を決めて物件を確保したら、中を改装して整骨院の看板も設置します。

スタッフのオペレーションや患者の導線も考慮する必要があるので、レイアウトの作成や見積もりがスムーズに行われるよう、工事業者はできれば整骨院の改装を請け負ったことがあるところを選びましょう。


(5)治療機器や備品を選ぶ

集客したいターゲット層や運営方針によって、充実させる治療機器や備品は異なってきます。

治療機器は購入とリースがあるので、運用方法・資金を考えてどちらにするか決めましょう。

リースは購入するよりも費用が抑えられて保険が付くなどの点がメリットですが、契約の際に連帯保証人を求められることがあります。

購入する場合はメンテナンスなどのアフターフォローを万全に行ってくれるメーカーやディーラーを選びましょう。

ベッドなど、納品に時間がかかるものもありますので、オープンに間に合うように発注のタイミングには注意してください。


(6)宣伝準備

開業を知らせるチラシを作ってポスティングしたり、街中にある広告スペースに看板を出したりして、地域の人々に開業を知らせます。

地域情報誌などがあるなら、広告掲載を依頼するのも良いでしょう。

整骨院のロゴマークなどを作ってチラシや広告に使うのも効果的です。

チラシなどの作成に並行して、Webサイトやブログ、SNSのアカウントを開設しましょう。

整骨院を積極的に探している人に情報を提供するには、インターネット上に窓口があると便利です。

広告物に記載する文には、「柔道整復師法」で定められた表現を使用しないように注意してください。

(7)スタッフを採用する

1日に集客すると見込んでいる患者さんの数はどれくらいでしょうか。

30〜40人くらいだと、一人ですべて対応するのは難しい数です。

その場合は、受付スタッフや補助スタッフの求人を出しましょう。

施術スタッフを募集するなら人材紹介会社を利用するのも良い方法です。

スタッフには運営コンセプトをしっかり認識してもらい、ふさわしい接遇ができるように教育します。


(8)オープン告知

改装工事が始まったら「△月△日△△整骨院開業」といったオープン告知の看板を掲示しておくと高い宣伝効果が期待できます。

開業日が近くなったら、チラシのポスティングなどにも力を入れましょう。

人手が確保できるなら、開業日にも駅前、整骨院近くなどで配布します。


(9)開業!

開業日までに開業に必要な届け出を済ませておきましょう。

後述しますが、特に保険請求は注意が必要です。

整骨院を開業するのに必要な届け出

整骨院の治療は保険請求を行うケースがあるため、あらかじめ申請が必要です。開業後に影響が出ないよう、計画的に届け出や申請を進めていきましょう

【施術所開設届】

各都道府県の保健所に提出し、整骨院の開業を認めてもらうための届け出です。

保険請求をする際の厚生局への申請には施術所開設届の写しが必要です。

必要書類
・施術所開設届
・柔道整復師免許の原本と写し
・開業場所が賃貸の場合は賃貸契約書のコピー
・施術所の平面図
・最寄駅からの案内地図
・定款(写し)と登記簿謄本(法人の場合)

施術所開設届は「整骨院を開設した状態」で、「開業後10日以内」に提出しなければならないというルールがあり、開業後しばらくは保険適用の施術ができないことになります。

そのため、多くの場合はプレオープン期間を10日間ほど設けて、この期間に施術所開設届を提出する方法が取られています。


【地方厚生局に提出する書類】

整骨院の保険請求は、患者から保険給付の受け取りを委任される形式を取って行われます。

これを「受領委任制度」といって、受領委任を受けて保険請求を行うためには、一般の保険の場合は地方厚生局に申請をする必要があります。

必要書類

※各都道府県により異なるため、開業地域の管轄事務所に確認してください。
・確約書(様式第1号)
・柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに係る申し出(様式第2号)
・施術管理者選任証明(開設者と施術管理者が違う場合)
・柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに係る申し出(同意書)(様式2号の2)
・施術所開設届の写し
・該当する柔道整復師の免許証の写し


【共済番号の取得】

公務員などが加入している「共済組合」の保険請求は、地方厚生局ではなく「共済組合」に受領委任を申請します。

申請先は国家公務員なら「社団法人共済組合連盟」で、地方公務員なら「社団法人地方公務員共済組合協議会」です。

必要書類

・受領委任の取り扱いに係わる申請書(様式第1号)
・尊守事項確約書(様式第2号)
・ご連絡(申請理由の申し出)
・柔道整復師の免許証の写し

【防衛省番号の取得】

自衛官やその関係者の保険請求を行う場合は、防衛省に申請し、防衛省番号の取得が必要です

必要書類

・申請書
・確約書
・柔道整復師の免許証の写し


【労災保険】

労災認定を受けた人に施術するには、各都道府県の労働基準局に申請して労災指定医療機関の指定を受ける必要があります。

必要書類

※柔道整復師1名(開設者と同じ)の場合
・申出書
・確約書
・指定薬局・指名機関登録報告書
・施術所開設届の写し
・柔道整復師免許の写し
・施術所の平面図
・施術所付近の見取り図


整骨院の保険請求は、柔道整復師会に入会して請求作業を代行してもらう方法と、作業をすべて自分で行う個人請求の2種類があります。

柔道整復師会は月に数万円の費用が必要になるので、個人請求する場合の作業時間や手間と比較して選択しましょう。

また、柔道整復師会にはいくつかの団体があります。入会する場合は、会費などの安さだけに注目せず、サポート内容を検討して団体を選びましょう。

整骨院を開業するために必要なこと

柔道整復師として就業するのは資格と技術があれば可能ですが、開業となると技術以外にも必要とされることがあります。

柔道整復師の資格を取得したら、いきなり開業を考えるのではなく、まずは整骨院に勤務して経験を積みましょう。

技術を磨けるだけでなく、レセプトなどの周辺業務、接遇についても学ぶことができます。

自分で開業したときに、責任者としてどのような業務を行うことになるのかがわかります。

開業に向けて走り出してから資金難にならないよう、資金計画は綿密に立てましょう。

資金難で計画を変更することになると、時間の面でも大きな損失を被ることになりかねません。

また、開業の際には整骨院の明確なコンセプトを打ち出すことも大切です。

開業前の就業先が順調に運営していると、集客への意識が低くなりがちです。

宣伝については詳しい人に手を借りるのがベストですが、資金面で難しい場合はセミナーや本で可能な限り自分で勉強したり、開業経験者に話を聞いて参考にしたりしましょう。

Webサイトやブログは内容を充実させて記事を増やすなど、検索結果の上位に表示されるためには、時間をかける必要があります。

FacebookなどのSNSは、患者として来院してくれた人向けに情報を発信するツールとして効果を発揮するでしょう。

インターネット上の窓口は必要ですが、用意してもすぐに集客にはつながらない可能性があるので、チラシなど地域にアピールする広告にも力を入れましょう。

開業までの道のりでつまずかないために

開業に向けて動き出してからのつまずきを少しでも少なくするには、整骨院の明確なコンセプトとしっかりした事業計画、資金計画が大切です。

中でもネックになるのは資金の調達かもしれません。

日本政府が100%出資して運営している日本政策金融公庫には、新創業融資制度があり、新規で開業する人は比較的融資を受けやすくなっています。

そのほか、自治体と金融機関が連携して行う融資制度や助成金などもあるので、利用できる制度がないか調べてみてはいかがでしょうか。



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