社会福祉士になるには?仕事内容と必要な国家資格の取得ガイド

社会福祉士とは、病気や加齢、または経済的な理由で日常生活を送るのが難しい人たちを支援する仕事で、「ソーシャルワーカー」の呼び名でも知られています。
社会福祉士の登録者数は年々増加しており、平成28年度の時点で登録者数が20万人を超えています。
子どもからお年寄りまで多くの人を相手にするため、決して楽な仕事ではありませんが、悩みを抱えていた人の「ありがとう」を間近で聞くことができる、やりがいの大きな仕事です。
では、社会福祉士になるためには、どうすれば良いのでしょうか?
今回は社会福祉士に興味がある人を対象に、仕事内容と国家資格を取得するための方法を詳しくご紹介します。


1)社会福祉士はどんな職業?
2)社会福祉士の受験資格を取得するには
3)社会福祉士の国家試験とは
4)自分に合ったルートで資格取得を目指そう

社会福祉士はどんな職業?

年々人気が高まっている社会福祉士。まず、職業の内容を具体的にお伝えします


【社会福祉士とは】

社会福祉士は、身体的・精神的な障害や環境上の理由により、日常生活を送るのが困難な人から相談を受け、助言や指導を行うのが主な仕事です。

社会福祉士が働く場所には、高齢者施設や障害者施設、児童福祉施設など、さまざまな場所があります。

中には病院などの保健医療機関を職場とし、患者さんやその家族の社会的・心理的な問題を解決する「医療ソーシャルワーカー」として活躍する人もいます。


【「介護福祉士」や「精神保健福祉士」との違い】

社会福祉士と比較されやすい職業に、介護福祉士と精神保健福祉士があります。

リンパマッサージやリフレクソロジー、アロマセラピーなど、知識や道具を使って身体的な疲労や不調を整え、癒やしを与えます。

ヨガセラピーのように、自身で体を動かして心身の癒やしを得るものもあります。

3つの職業はそれぞれ似ているようで、対象としている人や対応方法が異なります。

社会福祉士は介護福祉士と精神保健福祉士よりもケアする人の対象範囲が広いのが特徴です。

介護福祉士とは、高齢者や体が不自由な人を対象に衣食住のサポートをする職業です。

入浴介助や車いすの補助といった身体介護、利用者の生活支援を中心に行います。

精神保健福祉士は、統合失調症など精神に何かしらの障害がある人の生活支援を行い、利用者の心のサポートがケアの中心となります。

一方、社会福祉士は、子どもからお年寄りまで、生活に不安を抱える全ての人を対象に相談の受付や指導を行うのが仕事です。

「悩んでいる人々の暮らしを向上させるため、トータルサポートを行う」と考えるとわかりやすいでしょう。


【「社会福祉士」を名乗るには国家資格が必要】

たとえば「社会福祉士」でなくても、介護施設や福祉施設に常駐する「相談員」として働くのであれば、資格取得は必須ではありません。

しかし、より幅広い業務に携わり、利用者の生活を最前線でサポートできる「社会福祉士」を名乗るには、国家資格の取得が必要となります。


【社会福祉士の資格は、福祉業界で働く上で大きな強みになる】

社会福祉士は「名称独占」の資格です。

名称独占とは、「資格を持っていない人が勝手に社会福祉士を名乗ってはならない」ということを指します。

社会福祉士の資格を持っていれば、福祉の専門職として非常に高い能力があることの証明になりますので、それが転職などの際に強みとなり、また、仕事をしていく上での自信にもつながるでしょう。

社会福祉士の受験資格を取得するには

社会福祉士の試験というのは、誰もがすぐに受験できるものではありません。

試験に合格するには、まず「受験資格を得る」必要があります。

社会福祉士の受験資格を手に入れる方法は、全部で12通りあります。

福祉系の大学や専門学校で知識を蓄える以外にも、一般の大学・短期大学の卒業後や、就職後でも受験資格を取得することは可能です。

自分自身の状況に合わせて資格を取得できるので、「今からでは遅い」ということは決してなく、いつでもチャレンジすることができます。


【社会福祉士を目指すための最短ルートは?】

社会福祉士の受験資格を得るための12通りのルートを下記でご紹介します。

自身に合った方法で資格取得を目指しましょう。

4年制福祉系大学に通う場合

1)指定科目(18科目)履修
2)基礎科目(12科目)履修+短期養成施設などでのカリキュラム受講(6カ月以上)


一般的なのは、4年制の福祉系大学に通い、18科目ある指定科目を履修するルートです。

指定科目には「現代社会と福祉」「高齢者に対する支援と介護保険制度」「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」「相談援助演習」などがあります。

履修した科目が指定科目よりも少ない基礎科目12科目の場合は、短期養成施設や一般養成施設で6カ月以上のカリキュラムを受ける必要があります。


3年制福祉系短期大学などに通う場合

3)指定科目履修+相談援助実務経験(1年)
4)基礎科目履修+相談援助実務経験(1年)+短期養成施設などでのカリキュラム受講(6カ月以上)


3年生の福祉系短期大学に通っていた場合は、1年の実務経験が追加で要求されます。

相談援助の実務には「児童分野」「高齢者分野」「障害者分野」「その他の分野」があり、それぞれ対象となる施設と職種が定められています。

例えば「児童分野」の施設には児童相談所があり、「児童福祉司」「受付相談員」「相談員」「電話相談員」「児童心理司、心理判定員」「児童指導員」「保育士」が実務経験にカウントされる職種として認められています。

2年制福祉系短期大学などに通う場合

5)指定科目履修+相談援助実務経験(2年)
6)基礎科目履修+相談援助実務経験(2年)+短期養成施設などでのカリキュラム受講(6カ月以上)


2年制の福祉系短期大学に通う場合は、相談援助の実務経験が2年必要です。

基礎科目12科目しか履修していない場合は、さらに短期養成施設での受講を求められます。


社会福祉主事養成機関に通う場合

7)社会福祉主事養成機関+相談援助実務経験(2年)+短期養成施設などでのカリキュラム受講(6カ月以上)


社会福祉主事養成機関には昼間課程と夜間課程があり、2年以上の課程がほとんどです。


指定職種での相談援助業務の実務経験が4年以上ある場合

8)指定職種の4年以上の実務経験+短期養成施設などでのカリキュラム受講(6カ月以上)


指定職種とは、児童福祉司・身体障害者福祉司・知的障害者福祉司・査察指導員・老人福祉指導主事を指します。

これらの実務経験が4年以上あると、社会福祉士の短期養成施設に入学することが可能です。


一般の大学や短期大学に通う場合

9)4年制一般大学などを卒業+一般養成施設などでのカリキュラム受講(1年以上)
10)3年制一般短期大学などを卒業+相談援助実務経験(1年)+一般養成施設などでのカリキュラム受講(1年以上)
11)2年制一般短期大学などを卒業+相談援助実務経験(2年)+一般養成施設などでのカリキュラム受講(1年以上)


一般の大学・短期大学に通う場合は、一般養成施設などでの1年以上のカリキュラムの受講が必要です。

一般養成施設には昼間・夜間・通信のタイプがあり、各施設によって年数が異なります。

また、短大の場合は相談援助の実務経験も求められます。


その他(大学や専門学校での教育を受けない場合など)

12)相談援助実務経験(4年)+一般養成施設でのカリキュラム受講(1年以上)


4年にわたる相談援助の実務経験がある人は、一般養成施設で1年以上のカリキュラムを受講する必要があります。

最短で社会福祉士の国家試験を受けられるのは、4年制福祉系大学に通い、指定科目を履修した場合です。それ以外のルートは、いずれも5年ほどの月日がかかります。


※参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「社会福祉士国家試験 受験者資格」
http://www.sssc.or.jp/shakai/shikaku/route.html

社会福祉士の国家試験とは

受験資格を取得すると、国家試験に挑むことができます。社会福祉士の国家試験は年1回、全国各地の会場で実施されています


【試験の概要】

試験は毎年1月下旬から2月上旬頃に開催されています。

試験科目は社会保障や医療・福祉サービスなどに関する全19科目で、マークシートによる5択の筆記試験です。

1問1点で150点満点となっており、試験時間は240分間設けられています。

また、すでに精神保健福祉士の資格を持っている場合は、必要な書類を提出すれば共通科目が免除されます。

「人体の構造と機能及び疾病」「心理学理論と心理的支援」「社会保障」など、社会福祉士と精神保健福祉士の共通科目は11科目と多いため、将来的にどちらの資格も取りたいと考えている人は、同時に受験するのもおすすめです。


【受験手数料が必要】

社会福祉士のみを受験する場合の受験手数料は7540円です。

精神保健福祉士と同時に受験する場合は2万20円(社会福祉士6830円+精神保健福祉士1万3190円)、社会福祉士の共通科目免除により受験する場合は6360円となっています。

※平成28年度の受験費用につき、変動する場合があります。


※参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「社会福祉士国家試験 試験概要」
http://www.sssc.or.jp/shakai/gaiyou.html


【合格の基準】

試験に合格するには、総得点の60%程度を基準に、その年の問題の難易度に応じて補正された点数を超え、なおかつ決められた18科目全てで点数を取っている必要があります(ただし、共通科目免除で受験する人は7科目)。


【合格率は?】

厚生労働省が発表しているデータによると、平成28年の受験者数4万4764人のうち合格者数は1万1735人で、合格率は26.2%です。

過去5年間の合格率を見ても、一番高い年で27.5%(平成26年)、一番低い年で18.8%(平成25年)となっており、難易度の比較的高い試験だといえます。

社会福祉士の試験を受けられるチャンスは年に一度きりです。

時間を無駄にしないためにも、計画的に勉強を進めていくことが合格への近道です。

試験に合格した後は資格登録申請を行うと、後日登録証が交付され、晴れて「社会福祉士」を名乗れるようになります。


※参考:厚生労働省「第28回社会福祉士国家試験合格発表」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000116130.html

自分に合ったルートで資格取得を目指そう

社会福祉士の国家資格を取得するには、ある程度のまとまった時間が必要となります。

しかし、資格取得のための道は多く、在学・就職にかかわらずどのような環境下にあっても、やる気と根気さえあれば目指すことができる職業でもあります。

「社会福祉士の資格を取る」という一つの指標を持ち、そのためにかけた時間と労力は、福祉業務に従事する上で必ず役に立つでしょう。

「福祉系の仕事で国家資格を取りたい」と考えている人は、自分がどのルートであれば取得可能かを考え、挑戦してみてはいかがでしょうか。



    Twitter    Facebookでシェアする    LINEで送る